こんばんは。きどりんです。
今宵は「天国と地獄」の回です。
そういえば黒澤映画にも同名の作品がありましたね。
まぁそれは置いといて。
はいどーも。
とは言ってもね。実は推薦ディスクとか、無いんですよねw
まぁ書きたいこと書かせてください。
オッフェンバックはユダヤ系ドイツ人です。ケルンで産まれました。
ケルンというと壮麗なゴシック建築である大聖堂が有名ですね。
(とは言ってもオッフェンバックが生きた時代、この大聖堂はずっとぶっ壊れてました)
彼はチェロの演奏家でもありまして、24歳のときにフランス・パリに留学に来ます。
そこで作曲活動も続ける事になり、数多くの喜歌劇を遺しました。ちなみに後にフランスに帰化しています。
そんなオッフェンバックは自らの喜歌劇を上演するために、劇場を開きました。
その名もブッフ・パリジャン座です。
これ、もともとは見世物小屋で、それを買い取ったそうですね。
…さて、もとは見世物小屋だと書きましたが、じゃあ見世物小屋って一体何なのでしょ?
見世物小屋の文化は日本にもあります。
蛇と戯れる女や犬の曲芸、人間火炎放射器などサーカスみたいな大道芸や、
おばけ屋敷のようなホラー興行など…
お祭りの出し物や一座の興行のように、様々な形があったにせよ、
それは何かを「見せる」ことでお金を頂戴していた代物のようです。
その、見せる「何か」なのですが、残念ながら?健全なものばかりじゃーございませんでした。
覗き穴を作って娼婦の裸を売り物にしたり…過激なものでは性行為そのものを見せたりもしていたようです。
また奇形の子供や障害を抱える人間の悲劇的な様子なども見世物にしていたとか。
(その意味では、障がい者たちの収入源として重要だった歴史もあるようです)
正に、清濁合わせて「世」の中を「見」せる小屋だったわけであります。
話が脱線したようですが、人道的な議論を呼ぶ以前に、人々はそれを喜んで見ていた時代だった、
それは事実なのです。
オッフェンバックはそんな風潮の残るパリに、喜歌劇を上演するための劇場を開きました。
それはもちろん、オペラの流れをひいた出し物ではあったでしょうが、
文化的に考えてみても大衆娯楽性が強いのは自然でしょう。
「天国と地獄」はそんな彼の代表的作品なのです。
したがって、そのストーリーもすごくウケ狙い。
「天国と地獄(原題:地獄のオルフェ)」は、
ハイドン時代の「大!宮廷作曲家」グルックが書いた、{オルフェオとエウリディーチェ}のパロディです。
・オルフェ「別に愛しているわけでも無い妻が地獄に落ちちゃった。ばんざーい」
・オ「…でも助けにいかないと世の中の反感買うよな~」
・というわけで神様と一緒に助けに行きました。
・神様、妻に一目惚れ。エンマ様も妻にメロメロ。何じゃそりゃ。
・でも色々あって取り返す。
・しかし神様イジワル「帰り際に振り向いたら妻は返さない。」とか言いながら雷落としてびっくりさせる。
・オルフェ、容易に振り向く。
・妻は神様の世界へ。オルフェは意気揚々と現世へ。
というような、人を馬鹿にしたような話ですw
原作を知っている人ならなおさら、そうで無い人も思わず笑ってしまうような、ファニーなストーリー。
そして、そんな娯楽性の強いストーリー中で、最高の盛り上がりを見せる部分に、
オッフェンバックは強烈な音楽をつけました。
曲名は「地獄のギャロップ」
そう、フレンチ・カンカンです。
本物のカンカン踊りを見たことがありますか?
ちなみに、何とディズニーランドで見ることが出来ます!確か今でも。
ダイヤモンド・ホースシュー・レビューに行ってみてね。
どんな踊りかと言うと、ハイキック・側転・大股開き・スカートを捲くって脚を返す、等等
そして今でこそフレンチ・カンカンは純正ダンサーが踊っていましたが、
19世紀フランスでは中流階級の役者だとか、売春婦たちが踊っていたようです。
まぁつまりは女性の「部分」を強調する踊りです。
以上2点を、前述「見世物小屋文化」と混ぜて考えますと………
そう、多分この部分は当時ものすごく「イヤラシイ」魅力を放っていたに間違いないし、
カンカン目当ての客層が多かったのも容易に想像が出来るでしょう。
フレンチ・カンカンは20世紀初頭にさらなる流行を待つほど、息の長い文化でありました。
そのため「地獄のギャロップ」が、そういった「イヤラシイ」魅力のまま受け継がれてきた伝統と
共にあるのは絶対に否定できない。
そして、それ以外の楽曲が持つ旋律の優美さは、一種の免罪符のようだけど…
やはりフランスが併せ持つ「酒悦さ」つまり「エスプリ」を体現しているものでもあります。
バランスとってんのかしらw
下世話でありながら、圧倒的なまでに華やかなオッフェンバックの世界。
今回のオール・フランス・プロの幕開けには相応しいと言えましょう。
私がよく聴いている演奏は【N.マリナー×アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ
】
めっちゃくちゃ爽やかで走り抜けるような響き!
イギリスの団体だからかも知れませんが、まるで馬に乗って風を切っているかのようです。
女が踊っている音楽だとは思えませんが…
ウィリアム・テル/序曲名曲集 (1997/10/08) アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ |
あー眠い。
さよーなり