古風なメヌエットを少々

どうも34thヴィオラのたむろーです。いよいよ暑くなってきましたね。夏が一番苦手と自称する私は、なるべく涼しい場所を日々探してうろうろしております。

さて、冬の演奏会に向けて本格的に練習が始まっています。「オールフランス!」をキーワードに選曲を進めてきた今期ですが、いよいよ中プロも決まりました。ショーソン作曲の詩曲です。
そしてなんと、ソロヴァイオリンには、フランスや日本で活動していらっしゃるジェラール・プーレ氏をお招きすることになりました!(wikipediaのプロフィール

以前からお伝えしておりますように、指揮者が日本のフランス音楽第一人者である矢崎彦太郎氏ですから、これ以上ない方々が早稲フィルにやって来ると申し上げて差し支えないでしょう。
これで団員の士気が高まらないわけがありません! 来たる決起tuttiに備えて、ラヴェルと格闘している毎日です。
…決起tuttiについてはまた別の日に。

さて、メイン3曲はラヴェルの「古風なメヌエット」「マ・メール・ロア」「ラ・ヴァルス」ですが、メジャー級が並ぶ曲目といえど、フランス音楽をよく御存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は私もフランス音楽をやるとなる以前はあまり知らなかったクチでなのですが、この中で「古風なメヌエット」だけは良く聴いていました。他の2曲はなんとなく詳しく聴かなかったのですが…笑

なので、古風なメヌエットについてちょこっと書いてみます。

古風なメヌエットは、ピアノ版を原典に持ちます。ラヴェル20歳の時の意欲作で、“古風”の名の通り、典型的な形式に則ったメヌエットです。初演は作曲から3年遅れて1898年。若書きということもあって、大きな冒険もないようです。

しかし目を惹くほど斬新なのは、至るところに短二度和音が組み込まれていることでしょう。短二度和音とは、半音で隣り合った2つの音のことをいいます。普通、隣り合う二つの音は喧嘩してしまい、汚い和音になることが多いのですが、そこはさすがにラヴェルというべきか。不思議できれいな和音を作り出すことに成功しています。
実はこの和音、冒頭でもさっそく登場しているんですね。ピアノ版の譜面ですが、以下の通り、最初の和音の上二つはファ♯とミ♯の半音です。

古風なメヌエット

これに留まらず、いろいろな所で半音が登場します。私が強く惹かれたのは、こうした和音できれいな音を作ることのできる点でした。今回それを演奏する機会に恵まれたのは、僥倖としか言いようがありません。

20歳の若書きということでしたが、オーケストラ編曲版はなんと、オケだけが登場する曲としてはラヴェル最後の作品です。ピアノ版に遅れること32年、54歳の時に初演された晩年の曲なのです。
ラヴェルの若々しい作曲技法と、晩年の老練な管弦楽法を味わえる、まさに一粒で二度おいしい作品といえましょう。

他曲についてもそのうち…誰か書いてくれないかな。

ともあれ、今年の12月11日は早稲フィル!ですよ。手帳にしっかりご記入下さいね笑