こんばんはきどりんです。
録音の作業をしながらですが、CD紹介をさせていただきます。
えー、満を持して、前中プロに取り掛かります。
きっと…どなたか待ってくれていたのではないでしょうか…うん。。
まずは、F.プーランク/シンフォニエッタ から。
今日は久々に長くてまじめです。
長いです。すみません。
心の準備が出来たら、「続きを読む」
ありがとーぅございます。ほーら長いです。
まずはプーランクという人について軽く。
F.プーランクは1899~1963年という時代に生きた人です。20世紀の最初から中盤までの生涯ですね。
ご存知の通り、フランスの作曲家です。
フランスの作曲家では、先人にサン・サーンスやドビュッシー、ラヴェルなどがおり、
同時代人にはオネゲルやミヨーがいます。
ちょっと簡単な音楽史を書きますと…19世紀後半にドイツの作曲家R.ワーグナーによって、
脈々と受け継がれてきた機能和声の伝統は臨界点に達し、同時にソナタ形式そのものが発展の限界を迎えました。
…簡単に言ってしまえば、転調しまくって無限に旋律を繰り広げられるぐらい
作曲技術が発達したので、元の調とか主和音に戻って解決する技法自体に飽きだしたのです。
だから和声の進行自体がドラマを描き出す
古典的な形のソナタ形式がもう書かれなくなって来た、と。
新しい可能性を探し出しにかかったんですね。音楽自体が。
で、音楽の発展はドイツやオーストリアという地から、フランスに一時期舞台が移るんです。
その黎明期が大体サン・サーンスです。ご存知の通り彼は交響曲を書いていますし。
…みなさん、今更ですが、「交響曲」って何だかご存知ですか?
交響曲の定義は、簡潔に言えば「管弦楽のためのソナタ」です。
まぁ…ソナタ形式の楽章を含む、オーケストラのためにかかれた作品。とでも言えばいいのかしら。
つまり確実にソナタ形式が必要となってくるわけです。
だから、新しい音楽を模索していた当時のフランス音楽界にとって、
交響曲は旧時代的な手法であったはず。
それでも挑戦していたサン・サーンスは、やはり当時のフランス音楽界の中では初期の人だと言えます。
やはり、圧巻はラヴェルと、そしてドビュッシー。
類稀なるオーケストレーションを用いて、管弦楽に新しい音色を与え、更には「ボレロ」なんていう
キワモノ中のキワモノを書いてしまったラヴェル。
和声進行の代わりに、全音階や古い旋法を用いて形式の可能性を試みたドビュッシー。
さらにはご両人とも、ジャポニズムやオリエンタリズムなど、ヨーロッパ外の文化を西洋音楽に
取り入れようとした、正にフランス音楽界の二傑です。
でやっとその後にプーランクの時代がやってきます。あーやっと、ですねw
ここまでフランス音楽の流れを僕は書いてきましたが、プーランクのシンフォニエッタを
ご存知の皆さんは、何らかの違和感を覚えたかも知れません。
和声の進行よりも旋法やオーケストレーションを重視…だとか言って、
シンフォニエッタには重厚な和声を背景に古典的な旋律が踊ったりもするし、
交響曲が旧時代的…とか言って、
シンフォニエッタって「小交響曲」って意味だし。笑
その事はプーランクの生きた時代にちょっと関わってきます。
彼が生きた時代、音楽界を流れていた風潮の一つに、「新古典主義」というのがありました。
これは、ストラヴィンスキーの「バッハに還れ」という言葉に表されるように、
古典的な手法を今一度考察して、その魅力を活かしていこう…みたいな流行です。
プーランクは自分がクリスチャンだったこともおそらく関係して(幼い頃から教会で音楽を聴いている)
このような古典的な手法を活用する事に、違和感が無かったのではないでしょうか。
しかし。
この作品、冒頭の炸裂音が既に「復調」なんですね。笑
そんなところに現代音楽作曲家としての顔も覗かせたりもしてますね。
ってか復調はかなり多いですね。。
あと、同じ動機が展開されないまま何度も登場したり、
唐突に楽章を隔てた主題が登場したりして…循環形式があまり活かせてなかったりもします。
でもそれは循環形式云々というより、「気まま」に主題を並べていった感が正直あります。
何と言うか…食えない作曲家ですねw
プーランクの肖像、御覧になりましたか?
正に「食えない人」って雰囲気です。笑
以前このブログに、私は「プーランクは趣味ではない」と書きました。
それは事実です。
何と言うか、あまり理性的でない作曲が性に合わないのです。
しかし、フランス音楽特有のパフォームフルな作風、
つまり舞台栄えする音楽であることは間違いないし、
(パリでは今でも大道芸が盛んなんでしょう?!)
やはりフランス音楽に独特な、「深刻さの代わりの神秘さ」は
好き嫌いを越えて素晴らしいと思います。
なんだかこう、客観的なんですよね。
まぁ色々書きましたが、
特に今回紹介するCDから得た魅力は大きいです。
【シャルル・デュトワ×フランス国立放送管弦楽団…96年なのかな? DECCA ステレオ】
プーランクのほぼ全作品を納めたCDのようで、僕が持っているのはその選集なのですが。
デュトワの堅実な仕事が、音楽それ自体の情緒に喋らせています。
演奏者の存在が希薄な良い例です。
でもここでのフランス国立放送管弦楽団は、何だかすごく上手いですよ。
4楽章の鋭いリズムと切れ味あるフォルテは爽快ですし。3楽章のクラリネットも詩情たっぷりです。
1楽章の…何と言うか…フレーズの滞空時間というか…それも素晴らしいです。
どうぞお試しあれ~。
プーランク:管弦楽曲集(1) (1996/11/25) フランス国立管弦楽団 |
アマゾンの商品説明にも、「リズムが超冴えていて」って書いてありますね。
思わず「超」ってつけちゃうぐらい、冴えてますよw
それではまた。明日は多分ヴェルディ。