こんばんは、きどりんの方です。
近頃冷えてきましたね…そろそろ冬らしくなるのでしょうか。
というわけでCD紹介第二弾です。
今回はテーマディスクを決めました。
曲は《スペイン奇想曲 作品34/N.リムスキー・コルサコフ》
【L.ストコフスキー×ニュー・フィルハーモニア管弦楽団…1973年 DECCA ステレオ】
です。
まず最初に…このCDは、ロンドン交響楽団との
《交響組曲シェへラザード 作品35》
がメインになってて、スペイン奇想曲のほうは添え物扱いなので
探すときに注意が必要な事を記しておきます。。
いま気づいたけれど、シェへラザードの1個前の作曲なんですね。
それから、記事名の「スペキ」は、やっぱりスペイン奇想曲の略語です。
もちろん次回定期演奏会の前プロですので、目下、練習中ですが
そんな中、団内でもこの呼び名が大体通っています。スペキ。
CDの方に話題を戻しますと、この録音は、大曲シェへラザードの影に隠れている、のか
数あるストコフスキーの録音の中でも、あまり着目されないままである、のも手伝ってか
決して有名なものでは無いように思われます。
が、しかし。
あの「ファンタジア」の指揮者ストコフスキー。
彼の音楽が(創意工夫が?笑)この録音では炸裂しています!
冒頭は、そんなに速くはないのですが、正に「ドンチャン騒ぎ」。
デュトワの指揮で聴けるような、美しいサウンドのバランスはありません。
しかし、これこそ、祭りの響き。この録音は全編に渡って
パーカッションの効果が際立っていますが、この部分だけでも特筆すべきものです。
タンバリンの何と楽しい事か!シンバルの2拍&4拍も痛快です。
ですが聴き手は、開始15秒で更なる驚きを感じます。
Clの独奏に入ると、テンポが急激に落ちるのです!
一人悠々とソロを奏でるクラリネット…裏で弾かれる弦楽器のピチカートも
このゆっくりしたテンポだと、はっきりと動機を効かせて、愉悦を感じさせます。
そしてtuttiへ。また祭りの喧騒へ放り出されます。
結局、二度目のClソロもその後のVnソロのときも完全にテンポが落とされるので
遅くなったまま第1曲は閉じられます。
第2曲は変奏曲になっていますが、リムスキーの管弦楽法が際立ちますね。
ストコフスキーの指揮は、他の楽章に比べれば中庸の味付けでしょうか。
しかし低弦の強い物言いは聴きどころですし、後半はテンポの自由な操作によって
鮮やかな和声が浮き彫りになっています。
ただ、木管セクションのサウンドに透明感を欠くため
この楽章に関しては、それが惜しいように感じます。
第3曲は第1曲と同じく“アルボラーダ”。
演奏の特徴も第1曲と同じ事が指摘できます。
こちらは開始直後からスネアが台頭してきますが、これがまたよく効いています。
第4曲は“シェーナとジプシーの踊り”
私見ですが、ストコフスキーによるスペイン奇想曲の演奏、その核心が
この第4曲に出ていると思います。
最初の太鼓群によるロールから迫力満点。
金管のファンファーレは、意外と実直な演奏です。が、
弱音指定の箇所は、これでもかの最弱奏に加えてのテンポダウン。
続くVn、Fl、Clのソロはどれも異国情緒を誘うものです。
しかしここで言及したいのは、パーカッション。
Clソロの前の、吊りシンバルでしょうか?この1発が素晴らしい効果。
スネアの粒。おそらく敢えて金属的なトライアングル。
ストコフスキーのリタルタンドも凄い。日が暮れていくよう。
そして、何よりもハープ!!
このハープの演奏を紹介したくて、この記事を書いたといっても過言では。
それは過言ですが。笑
ソロが終わって、第4曲が中盤に進んでも、このハープは大活躍してくれます。
他にも、蛇使いのオーボエと、その蛇のようなVcソロ。
意表をつくTpのアクセントなど、聴き所満載の第4曲です。
さて第5曲“アストゥリアのファンダンゴ”
トロンボーン主題の冒頭、少しテンポを落とす事によって
色彩の変化に成功しています。
この曲でも、カスタネットやシンバル、そしてハープなどの活躍が目立ちます。
Vnの粘っこい音色は凄いですね…
コーダ。テンポ自体はそこまで上がりませんが、オケの鳴りっぷりは凄い。
ここでもティンパニを初めとする打楽器群が、やたら強調されています。
楽しい限りです。正直マイクも近いんだと思いますが。
弦楽器の16分音符も、管楽器のアクセントも
その効果があざといほど表現されています。
終結のド迫力は凄まじい。の一言。
スペイン奇想曲は、割と小品として位置づけられてしまって
録音が出ても全然注目されません。
しかしこのストコフスキーによる演奏は、併録のシェへラザードに勝るとも劣らない
聴き応えを孕んでいます。
もちろんシェへラザードも聴き物です。指定外の銅鑼にはびっくりしますし…。
聴いてて嬉しくなるような録音です。
「祭り」が好きな方は(?笑)是非1度聴いてみてください~。
ではでは、今回のCD紹介はここまでにします。
おしまい