ぶらりと。

こんばんは。そしてはじめまして。
早稲フィルでVcを担当しています、たんよくと申します。
たまにはなんか書いてくれ、という要請に答えて(?)、ちょっと来てみました。

先日、早稲フィルの新歓コンパが無事終わりました。
おかげさまで大盛況。来ていただいた皆様、本当にありがとうございます。
来週はいよいよ入団式。みなさんに会えるのを楽しみにしています☆
ガイダンスもまだまだやってますよー。

さて。実は私、去年ごろからコンサート巡りに凝ってまして。ちょくちょくぶらついてます。
なおかつ行って得た感想を忘れないようにと、独断と私見に満ちたブログも展開中です。
今回はその出張版。ぶしつけながら、早稲フィルブログにお邪魔いたします。

さて、今日行ってきたコンサートの概要をご紹介しましょう。

◎4月16日(水) モントリオール交響楽団 日本公演
指揮:ケント・ナガノ
会場:東京オペラシティ

曲目:
ベルリオーズ 幻想交響曲
ワーグナー 楽劇「トリスタンとイゾルデ」から 前奏曲と愛の死
ラヴェル ボレロ

今回は幻想交響曲に絞って書いてみようと思います。
きどりんにならって。よろしければ続きをどうぞ。↓


ありがとうございます。私の記事も・・長めになりそうです。ご了承を。

実はこのコンサート、当初はベートーヴェンの交響曲第5番を演奏する予定でした。
そうです。まさに来月、私たち早稲フィルが演奏する、「運命」です。
1ヶ月前というこの絶妙な日程、演奏において参考になるのではと思い、即座にチケットを取りました。

すると・・・曲目変更。指揮者とオーケストラの強い希望でとのこと。入金した後に言われても(;´Д`)
結局、本来の希望とは違う曲目で聞く羽目に。まったくついてないです。それでも行くんですがね。

さて、本題に入りましょう。モントリオール響は、カナダでは随一と呼ばれるオーケストラ。
このオケの特徴として、フランス以上にフランス的というイメージが伝えられています。
モントリオールはフランス移民の多い地域で、これまでの指揮者もフランス音楽が得意だった。

わざわざ変更した(!)今回のプログラムも、フランスものを意識したものなのでしょう。

変更したプログラムの中では、幻想交響曲が一番の見どころでした。
実は去年の9月に、パリ管弦楽団。今年の2月には大阪フィルで1回ずつ聞いています。
パリ管以外は、意図しない偶然で聞くことになったんですが・・・これもなにかの縁でしょう。

聞き比べも楽しいものです。今回のオケでは、どんな演奏が飛び出すか注目でした。

「感受性に富んだ若い芸術家が、恋の悩みから人生に絶望して服毒自殺を図る。
しかし薬の量が足りなかったため死に至らず、重苦しい眠りの中で一連の奇怪な幻想を見る。
その中に、恋人は1つの旋律となって現れる…」
これが幻想交響曲のテーマです。楽章ごとにも少しだけ記しておきます。

1楽章「夢-情熱」(若い芸術家が恋人に逢わない前の不安と憧れ)
弦の音色が綺麗でした。チェロがうまい。これは今日の演奏全てにおいて。
低音がしっかり支えてくれると、オーケストラに広がりが生まれます。
けっこう強弱の差が激しい楽章ですが、うまく表現されていました。

2楽章「舞踏会」(舞踏会の華やかなざわめきの中で、彼は再び愛する人に巡り会う)
この曲の中で唯一、憂いなく軽やかに舞う楽章。
音色は相変わらずきれい。ただメロディーは、もうちょっと音量出してもよかったかも?
木管は特にうまかった。軽快なリズムの持ち味が存分に生かされてました。
出だしのハープが生音だったのが気になりましたが・・・

3楽章「野の風景」(心の平和。しかし無限の静寂の中に身を沈めているうちに、再び不安がよぎる。)
オーボエの掛け合い。全体的にのびのびと歌ってました。
中間部分のまったりした雰囲気が好きです。野原に寝転んでまどろむ感じ。
その後。ティンパニによる雷鳴はいい音量。近づいたりちょっと離れたり。面白かった。

4楽章「断頭台への行進」(夢の中で愛していた彼女を殺し、死刑を宣告され、断頭台へ引かれていく)
これまでの楽章で、最大音量が少し気になっていました。あまり出せないのかと。
しかしどっちかっていうと、後半への余力を残しておいたんですね。参考になります。

ティンパニの乱打からチェロのメロディー。盛り上がるところはきっちり締めてました。
ただ金管は少し走り気味だったかな。そりゃ今まで我慢してたんだろうけど。

気になったのは最後のギロチン後。あまりにも冷静すぎでは。
あれだと首が落ちた深刻さが・・ドラクエのスライムが跳ねてるような感じw

5楽章「ワルプルギスの夜の夢」(芸術家は、彼の葬儀を行う魔女の饗宴に参加している幻覚に襲われる)
今日における最高の演奏。出だしから気持ち悪さ全開。
確かにこの楽章は、処刑された後の地獄をイメージされて描かれてますが・・・ね。
弦の低音がうまいだけに、重苦しい雰囲気に拍車をかけてました。

特に気持ち悪かったのは、鐘が鳴りだす前の木管群。やりたい放題。
魔女の狂いざまが浮かびました。演奏者もはじけてた。あのクラやべえ。

後半では幻想交響曲における名物、弓の裏側を使うとばしがやばかった。
大阪フィルと比べて明らかに強調してました。気持ち悪いけどあれくらい欲しい。

唯一、鐘の鳴らすタイミングだけが気に食わなかった。呼吸があってない。
それ以外は本当に怖気だつ素晴らしい演奏だった。まじで気持ち悪かった。

総評として。総じてこのオケはチェロと木管群がうまかったです。
2楽章や5楽章の演奏で光るものがあったのは、このあたりの力が大きかったと思う。

チェロをやってる人間としては、この曲の難しさが浮き彫りにされた感じです。
かなりの部分でメロディーラインを担当している。ピッチカートも難しい。
ポイントは「意味付け」と「差」でしょうか。標題音楽・・・テーマがある音楽なので、
それをいかに聴衆に伝えるかが重要です。その点、今回の演奏は後半がすさまじかった。

・・・感想を書いてて、何を伝えればいいのか。難しさを実感します。なんといっても代名詞が多すぎる。
でも、感想=特に気になった部分=演奏でポイントとなる部分。だと私は考えています。
同じ曲を何度も聞けば、次も特に気になった部分をおのずと注目するようになる。それが観客心理。

それならば演奏者としては、その特に気になった部分を集中して練習すればいいのではないか。
そうすればお客さんに、素晴らしかったという感想をもってもらうことにつながるかと。

コンサートに行って感想を得ることは、観客としての視点を知ることにもつながり。
その曲を演奏する心構えを作るのにも役立つと思います。耳の肥やしはもちろんのことですが。

この感想も、何かの一助になればいいけど。。。やっぱり「運命」のプログラムがよかったw

それではまた。たまには遊びに来ますね。080417_0207~0001